心理的安全性とポジティブ心理学で高める働きがい
日付:2022年9月1日
会場:オンライン
主催:Unipos株式会社
参加者:1.1K(録画受講を含めると3.5K)
<参考>募集案内リンク
ニューヨークライフバランス研究所(NYLB)代表の松村亜里が、「Unipos働きがいサミット」に登壇しました。
松村は、ワークエンゲージメント(働きがい)について、心理学の観点から解説。
職場でワークエンゲージメントを高められるようになることを目的に、ウェビナー を行いました。
質問を交じえ、参加者のコメントをシェアしながら、双方向で講義を進めました。
心理学の目的が変化してきた
まずは、
- 心の状態がマイナスなもの、悪いところを治すことを研究してきた臨床心理学
- 大変な環境でも病気にならない人を予防の観点から研究してきた公衆衛生学
- 心の病気な治っても幸せでない人がいることから幸せな人を研究してきたポジティブ心理学
というように、心理学の研究で起こってきたパラダイムシフトについてお伝えしました。
「何が問題なのかよりも、何がうまくいっているのか」に着目するという、視点が変化してきたことついて解説。
ポジティブ心理学は、医療のみならず、職場や教育、コーチングやセラピーにも取り入れることのできる汎用性の高い学問で、どのような目的で応用できるかを丁寧に説明しました。
「ポジティブって言葉になんとなく抵抗がありましたが、このように整理されるとすっと入ってきますね」というリアルタイムのコメントもいただきました。
「ポジティブ心理学と聞くと勘違いされてしまうこともあるが、ポジティブシンキングとは異なる」と松村は話します。
また、最近注目されてきた言葉「ウェルビーイング」についても言及。
ウェルビーイング自体は、1946年にWHOで定義されたものだが、松村としては、ポジティブ心理学の研究によって再び注目が集まっていると考えています。
ポジティブ心理学者が幸についての研究を進めていく中で、心だけではないことに気づき、「運動している人は幸せ」「とても幸せな人はつながりがある」「意味の感じられる仕事をしている人は幸せ」ということが、分かってきたのです。
さらに松村は自身が提唱するオリジナルのモデルを展開。ウェルビーイングには強みのコンセプトが包含されていないので、松村はポジティブ心理学という言葉を使っています。
「ないものでなく、あるものを見る」のがポジティブ心理学の中核になるコンセプトと紹介。
松村は、あるものを見るという強みに着目する視点を用いながら、心理的・身体的・社会的ウェルビーイングを高めていくことを提唱しました。
さらに、ウェルビーイング については、6つの分野に分けて説明。
6分野のそれぞれが高いほど幸せという累積効果を紹介し、さらにキャリアウェルビーイングが高いと他の分野も高くなる傾向があることを紹介しました。
組織のあり方も変わってきた!
このように心理学が変化してきましたが、職場も変化してきたと松村は言います。
- 顧客満足度
- 社員満足度(過酷でない労働条件)
- 社員ワークエンゲージメント(働く喜び)
- 社員ウェルビーイング(生きる喜び)
ウェルビーイングな組織は、社員の幸せを願い制度を整備しています。
研究では、「成功する人は幸せになるのではなく、幸せだから成功する」ということが分かっているので、社員の幸せのために組織が動くことは、社員と組織のどちらのためにもいいと指摘しました。
熱意・活力・没頭の3つの要素が高いと、ワークエンゲージメントが高いと言える松村は述べました。
さらに、社員のウェルビーイングが高くなると起きるメリットについて紹介し、組織に良い循環が生まれることを説明しました。
- ワークエンゲージメントは、世界全般的に見ても低いことは低い
- ワークエンゲージメントの日米比較や16か国との比較で日本の割合を紹介
コメント欄でも日本のワークエンゲージメントの低さ、問題行動の多さにショックの声が見られました。
日本人は謙遜して調査で低めに答える傾向はありますが、なぜ日本のワークエンゲージメントが低いのでしょうか? 皆さんはどう思われますか?
参加者のコメントを紹介しながらさらに講義を展開しました。
キャリアウェルビーイングには4つのタイプがある
ワークエンゲージメント(働きがい)はキャリアウェルビーイング の指標です。
では、キャリアウェルビーイングを高めていくにはどうしたら良いのでしょうか?
まずは、働き方の4つのタイプを理解することが役立つということで、ポジティブ産業心理学の研究を紹介しました。
- 仕事中毒
- 燃え尽き
- 9時5時
- エンゲージ
の4つのタイプについて、活力・楽しみ・チャレンジ・スキル・熱意のエビデンスに分けて解説。
また、表面上は似ているように見える、エンゲージタイプと仕事中毒タイプの違いについても詳しく説明しました。
さて、あなたは、どのタイプでしょうか?
この機会に自分のタイプについて考えてみたり、組織の中でどのタイプが多いかを考えてみるのも良いきっかけになるかもしれません。
ワークエンゲージメントはどのように高められるのか?
皆さんは、高めるためにはどんなことができると思いますか? すでに行っていることはありますか?
講義では、松村が学術的に見て、高められると思ったものをポイントを7つ絞り、研究で分かったリーダーが4つするべきことの他に、松村が3つ足して、松村オリジナルの心理的安全性モデルを解説しました。
さらには、
- 職場の関係性がいいとワークエンゲージメントの研究結果
- 職場での強みとワークエンゲージメントの調査結果
を紹介しました。
高める方法がたくさんある中でも、「強みを知って使ってみる」ことは非常に効果的です。
職場でも、世界のポジティブ心理学者たちが考案したVIA強み診断をしてみて、グループシェアや1on1での話し合いをしてみることを松村は強くお勧めしました。
Q&A
Q. 人事の制度、職場環境への取り組みはどのようにしたら良いでしょうか?
講義で紹介した7つは全て役に立ちます。
休息なども選択肢の一つですが、まずするとしたら、人は疲弊する環境でも意味や目的があるとヤル気が出ますので、上司が部下のしていることに感謝したり、その仕事の意味や目的を伝えることは効果的です。
VIA性格の強み診断もお勧めです。
松村が紹介した中から、まずは自分で見てみて、簡単に出来そうなことから始め、順番にやってみるのも良いと思います。
<参考>
松村亜里監修『「24の性格」診断であなたの人生を取り戻す 強みの育て方』
松村亜里著『誰もが幸せに成長できる 心理的安全性の高め方』
Q. 現場は疲れていますが、経営陣は分かっていないように感じます。どのように巻き込めば良いでしょうか?
コミュニケーションが大事だとは思いますが、1つ感じていることは、例えば、従業員が「忙しくて休みが取れない」と思い込んでいることもありますね。
個人の無理な頑張りで努力している限りは、変わりません。まずは、「組織の問題を勝手に個人が肩代わりしない」ことです。
自分のウェルビーイングに責任を持ちながら、やれる範囲で仕事にをする。
組織の問題は個人がどう行動するかによって、表出化させることもできると思っています。
Q. 強みは本人の認識と周囲の認識にズレがあるように思いますが、いかがでしょうか?
人は自身の強みを強みとして認識していないことが多いと思います。他の人にとっては強みでも、自分にとっては簡単なことで普通すぎて気づかないことが多いです。強みはその人が自然にやってしまう行動なんですね。
ですので、VIAのテストを受けることによって、ラベルを貼ってもらうことができます。皆がテストを受けて、お互いにシェアしてみることをオススメします。
この強みはもうすでにそこにあるもので、自分には見えない宝石を抱えているようなものです。各自が認識しないともったいないなと思っています。
最後に(一番の学びや感想)
研究結果だけでなく、事例もふんだんに交え、参加者の意見も聞きながら進めていった松村亜里によるウェビナー。
松村の問いにオンライン会場のコメント欄も多いに盛り上がりました。
チャットのコメントは944件、アンケートも400名近くの方からメッセージをいただきました!
▽参加者の声(内容について)
- 「ポジティブ」という言葉に引き気味で拝聴していましたが、全然違ってました! チャットが盛り上がるのも、すごいなぁと思いました。
- ”働く”ということを考える主体が会社から個人に移ってきているということを最近学んでいたところで、ワークエンゲージメントについて解説いただき、日本人全体の課題感もよくわかりました(突出して低く、ここまで低いのかと驚きました)。
- 「キャリアWell-being」の考え方は非常に気付きがありました。そこを起点として、WEをどう高めていくかというアプローチについても、非常に理路整然としており良かったです。
- well-beingとワークエンゲージメントの関係がよく分って楽しかったです。自律的な働き方の困難さ(日本の職場の在り方でもあります)が分かったような気がします。
- ウェルビーイング、言葉が先行することがありますがその本質を分かりやすく講演いただき頭の中が整理できました。
- チームづくりと生産性の向上に悩んでいましたが、取り組みの方法が理解できました。参加してよかったです。ありがとうございました
- 臨床心理士として仕事をしていますが、マイナスをゼロに戻すように支援しても、元気にならないクライエントに対して、もっとできることはないか、もう一歩踏み込んだアウトプットが提供できないかと悩んでいました。
今日の講演をきっかけに、以前から気になっていたポジティブ心理学を学び、職場の職員をより元気にできるように支援できたらと思います。
講師の松村さんの講演は初めてでしたが、とても分かりやすく、楽しくなることができ、幸せな時間でした。ありがとうございました。
▽参加者の声(VIAについて)
- VIAの存在を知ったこと。ワーカホリックとエンゲージメントの違いが整理できました。
- VIAを受けてみたくなりました。
- 性格の強みとストレングスファインダーが違うということは知りませんでした。
早速チェックしてみます。
▽参加者の声(松村について)
- 松村さんの作る場の力に引き込まれました。笑顔と感謝と、安心感、こんなファシリテーションができたらいいなぁと大変尊敬と共に、幸せな時間をいただきました。ご著書を購入させていただいておりますが、改めて、強みを育てるということに注視して、生かしていきたいと思います。ありがとうございました。
- チャットコメントに対し、ポジティブなコメントでの反応を漏れなく実施させれていて、聴く側も心地よい、モチベートされる講演でした。
- Webinarでここまで双方向的に講演を進められている方は初めてでした。大変ためになる講演でした。ありがとうございました。
- 松村さんの盛り上げ方が良かった。内容的にも、ポジティブ心理学やワークエンゲージメント、ウェルビーイングについて知ることができてとても良かったです。まずは自分自身の強みを改めて分析し、自己効力感をたかめていきたいです。ありがとうございました。
- こんなに短時間で概念だけではなく、世界から見た日本の状況含め、すぐにとっていかれる対策をお話しくださりありがとうございました!
- 話し方や進め方においても、WBを高めるような工夫をしておられるように感じました。そう導くことも大事だと思いました。
- 松村先生のご講演、とても元気が出ました。データがただのデータではなく、実際実践に活かせるものばかりでありがたかったです。もやもやに光が差しました。早速LINE登録させていただきました。ありがとうございました。
▽参加者の声(全体の感想)
- もう最高でした!! なんとなく分かる、が腑に落ちる瞬間がたくさんありました!! ありがとうございます!!!!
- エビデンスに基づく内容を大変わかりやすくご紹介いただいた上、また、ご自身や周りのエピソードも交えながら話いただいていたので、共感できました。非常に価値のある時間を過ごせたと思います。ありがとうございました。著書も拝読したいと思います。
- ポジティブ心理学の講演は何回か聴講したことがありますが、本日のお話はわかりやすく職場のイメージがわき実践的でした。大変勉強になりました。ありがとうございます。
- もっともっとお話をうかがいたいくらい楽しく有意義な時間でした。ありがとうございました! ワークエンゲージメントを高められるよう頑張ります^ ^
- 自分に何かできることはないかと参加させていただきましたが、もっとお話を聞きたい、深く学びたいと思える、楽しく、学びの深い時間でした。
- どうしたらWEを高められるか、のアプローチが分かりやすく理解できました。先生のお人柄もあって楽しく学べましたとても楽しい講演でした。
- ポジティブ心理学からのワークエンゲージメントの高め方についての講演をお聞きして、今日からの働くことへの考え方の根本を変化させていけると感じました。もっともっと私だけでなく日本のがんばって働いている皆さんのワークエンゲージメントが向上して、より元気な日本、より元気な世界が広がっていくことを願います。
- ポジティブ心理学を全く知らなかったので、頭を打たれる感覚でした。書籍も購入し、学んでいきたいです。今日は本当にありがとうございました。
- わかりやすかったです。チャットからも学びを共有することができました。
- 事業所の管理者していて、やるべきことのヒントを見つけることが出来ました。
ありがとうございました。
本も買います!! - 社員全員に聞いてほしい内容でした。ありがとうございました。
- 初めて聞く内容が多く、目からウロコ状態でした。上司に話してみたいと思います。
既に松村の講座を受講してくださった方々も駆け付けてくださり、たくさんの応援のコメントをいただき、初めて参加の方たちもそれに乗って、たくさん意見を書いてくださり、エネルギーが伝染するのを目の当たりにしました。
おかげ様で、松村自身も日本の組織について大変学びになる機会&気持ち良くノリに乗って講演できた機会となりました。
いつも応援してくださる皆様、初めて参加してくださった皆様、登壇オファーをくださったUniposの天野様、どうもありがとうございました!
『誰でも幸せに成長できる 心理的安全性の高め方』書籍プレゼントは100冊用意したのですが、うれしい悲鳴で5分くらいで品切れとなりました。
公式LINEも500名以上の方が登録してくださり、これを機にポジティブ心理学を職場に入れてくださる方が増えたら本当に嬉しいです。
ともに日本のワークエンゲージメントを高めていきましょう!!!
こういった内容を、安心安全な場で異業種の新しい仲間とともに更に深く学べる講座もあります!
皆さんと一緒にポジティブ心理学を応用していくのを楽しみにしています!
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